※アメーバーブログに掲載した内容を転載しております。
前回のブログではACEと言われる逆境的小児期体験の影響についてお話ししました。
おそらく読んだ頂いた方の多くは、「じゃあ、どうすればいいの?」と感じられたのではないでしょうか。
ですので、なぜACEが将来に及んでまで健康を害するのかという話はあとにして、
そのような有害なストレスを受けた場合の対策は何なのかということを先にお伝えしようと思います。
有効な対策としては、
1,良い睡眠
2,適度な運動
3,適切な栄養
4,マインドフルネス
5,心の健康(トラウマを癒すことが大切)
6,健全な人間関係
であると言われています。
1~3については当然のことですね。
睡眠中には記憶の消化が進められていると言われています。
睡眠で脳を休めながらも、記憶の消化を進めることも考えれば、
シャットダウンをするようなお薬による睡眠よりも、自然の睡眠の方が良いのだと思います。
もちろん眠れない、睡眠障害がある場合はお薬の力を借りてでも脳と身体を休めることも大切です。
2の適度な運動は1の良い睡眠にもつながります。
また運動することは脳の中でドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンなどの分泌を促す効果もありますし、
エンドルフィンという幸福感を感じる成分も分泌されるという報告もあります。
これらの成分は幸福感だけではなく、やる気や集中力にも影響しているものですので、
適度な運動は勉強にも大切であるとも言えますね。
3の適切な栄養も当然のことと言えば当然ですね。
食べなければ力は出ませんし、食べていても栄養に偏りがあったりすると体調にも影響が出ますので。
気持ちがとても落ち込んでいるときなど食欲がなくなることが多いですが、
食べないことで身体の調子も崩してしまい、さらに気持ちが落ち込むこともありますので、
そのような時も食べたいと思えるもの、食べられるもの、せめて口に入れられるものでも良いので
栄養を摂りましょう。「腹が減っては戦はできぬ」です。
4のマインドフルネス。
マインドフルネスとは、「意図的に、今この瞬間に、特別な価値判断をすることなしに」受け入れることです。
私たちは主観で物事を見て、感じて、判断しています。この主観は「特別な価値判断」になります。
例えば自分の気持ちが落ちているときに、同僚などがちらっとこちらを見て(見たように感じて)
別の同僚と小声で話をしたとしたらあなたはどう感じるでしょう?
嫌な気持ちになることが多いですよね。
でも、気持ちが上がっているときにそのような場面を見たとしたら同じように嫌な気持ちになるでしょうか。
あまり気にならなかったりすることのほうが多いと思います。
このように主観によって物事の意味が大きく変わり、心の状態に大きく影響するのです。
マインドフルネスではこのような主観にとらわれることなく、物事を受け入れたりする力を養うことができます。
5の心の健康については括弧書きにもあるようにトラウマを癒すことが大切です。
トラウマがあると似たような場面に遭遇するとそのトラウマを体験したときの心理状態に巻き戻され、
心の状態も、身体の反応もその時経験した危機的状態に対処しようとします。
本来は終わったはずのことでも、今もなおその危機的状態の中にいる、継続していると心と身体が反応してしまうのです。
このような状態が長く続くことは心にも身体にも良くありませんから、
そのように巻き戻されることがないように、トラウマの処理をすることはとても大切です。
6の健全な人間関係。
とても難しいこともありますが、とても大切な事でもあります。
自分らしく居られる場所、自分らしく居る自分を受け入れてくれる人々。
家族でそのように感じられるととても心強いですし、家族以外でもそのような関係性が築けるととても大きな安心感を
感じることができ、伸び伸びと社会生活を送れるようにもなりますね。
また逆に有害な人間関係と距離を置くことも大切です。
自分らしく居られない、自分らしく居ようとする自分を受け入れてくれない。
そのような有害な人間関係が自分にとって本当に必要なのかどうか。
自分が傷つき、苦しんでまで維持する価値があるのかどうか。
なかなかこれまでの人間関係を自ら切断することは勇気がいることかもしれません。
でもあなたが笑顔で人生を歩んでいくためには有害な人間関係を切断する勇気、
一時期流行った言葉でいえば「嫌われる勇気」も必要です。
次回はなぜACE(逆境的小児期体験)が悪影響を及ぼすのかについてお話したいと思います。